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盗賊(Il Bandito, 1946) |
第二次世界大戦後のアメリカ、ハリウッドが描く《復員兵》について見ているが、イタリアの戦後の映画に描かれている復員兵1)の状況も興味深い。ここでは、日本であまり取り上げられることのない、2本の映画を見てみたい。
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盗賊(Il Bandito, 1946) |
第二次世界大戦後のアメリカ、ハリウッドが描く《復員兵》について見ているが、イタリアの戦後の映画に描かれている復員兵1)の状況も興味深い。ここでは、日本であまり取り上げられることのない、2本の映画を見てみたい。
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“Cabiria (1914)” 撮影:エウゲニオ・バーヴァ |
イタリアン・ジャーロの巨匠、マリオ・バーヴァ(Mario Bava, 1914-1980)の父、エウゲニオ・バーヴァ(Eugenio Bava, 1886-1966)は、イタリア無声映画期からカメラマン、特殊効果を担当した、映像エンジニアのパイオニアである。彼は『クオ・ヴァディス(Quo Vadis?, 1913, エンリコ・ガッツォーニ監督)』『カビリア(Cabiria, 1914, ジョバンニ・パストローネ監督)』で撮影、アシスタントを担当している。『カビリア』では、特殊効果をセグンド・ド・ショーモン(Segundo de Chomon, 1871-1929)と共に担当した。
エウゲニオは、イスティトゥート・ルーチェ(Istituto Luce)の特殊効果部門のトップを長く務めたようである。晩年では、息子マリオの作品の特殊効果も担当している(『ブラック・サバス/恐怖!3つの顔』)。
マリオ・バーヴァは父親のエウゲニオを非常に尊敬していたようだ。「私は彼の全ての秘密と技術を学んだ」と言っている。父親の部屋は「錬金術士の隠れ家のよう」で少年期のマリオは非常に感化されたようである。
これはエウゲニオ・バーヴァが、ロベルト・オメニア(Roberto Omegna, 1876-1948)と共に製作した『眼』というドキュメンタリーからの抜粋である。この作品は、ルーチェのアーカイブには登録されていないようで、正確な製作年が判然としない。しかし、オメニアの活動期から類推して1940年代前半ではないだろうか。教育的な目的を持っているとはいえ、この「器官」への執着には、形容しがたい異質さがある。これを当時の観客は、どのように受容したのであろうか。