こんにちは。Murderous Inkです。
今週のニュースレターです。
韓国では、7月17日は制憲節です。
2008年以来初めて、2026年に祝日として復活しました。
制憲節は、民主共和国の‘大韓民国’の最初の出発として大韓民国の‘憲法’が全世界に公布されたことを記念する国慶日(国民の祝日)であります。
憲法は国民の自由と権利を実現できる方法として国家の秩序を立てると共に国家の根本となるので、制憲節は大変重要な日であります。
憲法がある国のほとんどは、憲法を制定した日を国家記念日に指定しています。
民主主義の実現であり、大韓民国の根本である憲法が公布された制憲節、これまで忘れていた憲法の価値について振り返りながら、改めて考えてみる日になることを願います。
Paper Trail(2026)
見ました。ドン・ハーツフェルトの新作。
ここで見ることができます(ストリーミング、$4.99)。15分ほどの短編です。日本語字幕はありませんのでご注意を。
この作品は、見て体験してください。
ただ、この作品もそうですし、デスクトップシネマなどでも強く感じるのですが、翻訳字幕の役割を見直す時期にさしかかっているように感じるのです。従来から「日本語翻訳字幕は1秒当たり3~5文字のスピードで」などというルールがまことしやかに言われています。実際にそれ以上文字数を詰め込むと、字幕を読むほうに注意が奪われてしまって、映像を見る余裕がなくなる、と言ったことも起きてしまいます。ところが、この映画のように画面に映し出された文字列を一瞬にして把握するという、ネイティヴにしかできない言語把握を、そして、そういった本能的な言語感覚を意図的に利用する手法を、非ネイティヴはどのように受け取るべきか、そもそも鑑賞可能なのだろうか、と感じています。
この映画に、細かく正確に字幕をつけて、繰り返し見ることで、鑑賞可能になるのだろうか。それともおおよその字幕をあてておいて「なんとなく」分かればいいのか。あるいは、かつてディズニーがトライして不評だった、画面の英語表現に翻訳された日本語を埋め込むのか。PCやスマートフォンの画面が、映像表現の一部になった今、はたして翻訳は可能なのか。
その観点からも、このハーツフェルトの新作は、きわめて両義的なんですよね。手書きという、本当は非常に緩慢な言語表現行為をこの速度で見せるのですから。
ヴェネツィア国際映画祭クラシックス[2]
今年9月に開催されるヴェネツィア国際映画祭で、《クラシックス》と呼ばれる部門があります。各国のアーカイブや映画会社が修復したものを上映する企画です。このニュースレターでは、この《クラシックス》で上映予定の作品19作品を紹介していきます。今回はその2回目。
5. Lo Zio Di Brooklyn (1995)

監督:ダニエーレ・チプリ、フランコ・マレスコ、イタリア、98分、白黒
restored by: Fondazione Cineteca di Bologna, in collaboration with Filmauro
原題は「ブルックリンのおじさん」という意味。
チプリとマレスコのデビュー作で、パレルモを舞台に、アマチュア俳優を使い、6億リラ(当時のレートで約4900万円)で製作されたといわれています。
物語は、3人の中年男の兄弟が、マフィアに脅迫されて「ブルックリンから来たおじさん」をかくまうという話なのですが、登場人物、構図、プロット、すべてが、従来の映画の規範をとことん破っているのです。下品というか、スカトロジカルなネタも多く、見る人を選ぶ映画です。「大胆な映像表現」「見事なまでに淫靡」などと呼ばれ、カルト的な人気を集めました。映画監督のジャンニ・アメリオは「虚無的」「映画の終わりか、それとも復活か」と評しました。
こういったカルト映画を日本の映画市場はわりと好んで輸入していたのですが、『ブルックリンのおじさん』が公開されたかどうかは私の調べた限りでは分かりませんでした。
フィルムは、1995年に公開されたのちにお蔵入りになり、そのまま30年間も日の目を見ることがありませんでした。監督のマレスコが、公の場で、プロデューサーのアウレリオ・デ・ラウレンティスに、映画を再公開するように呼び掛けたことがきっかけとなり、今回の修復につながったようです。
6. ワイルド・エンジェルズ(The Wild Angels, 1966)

監督:ロジャー・コーマン、アメリカ、86分、カラー
restored by: Amazon MGM Studios
ロジャー・コーマン監督の『ワイルド・エンジェルズ』は、1960年代後半に大ブームとなった「バイカー・ギャング映画」の先駆けとなった映画であり、しかもこのジャンルのなかでは、最も優れた映画の一つだろうと思われます。このジャンルでは、ヘルズ・エンジェルズなどの実際のバイカー・ギャングにも出演してもらい、ならず者バイカーたちの世界をリアリスティックに描くというのが定番ですが、それを始めたのもこの『ワイルド・エンジェルズ』です。ピーター・フォンダがチョッパーを乗り回すというのも、この映画が固定させたイメージですね。
Amazon MGMが修復をしたとありますが、具体的な情報はわかりません。
7. Los de la mesa 10 (1960)

監督:シモン・フェルドマン(Simón Feldman)、アルゼンチン、83分、白黒
restored by: Asociación Amigos Museo del Cine de Buenos Aires
原題は「10番テーブルの人々」という意味になるのでしょうか。アルゼンチン映画が、ペロン政権の崩壊(1955年)とともに新しい時代(アルゼンチン映画の「60年代の世代(generación del 60)」)を迎え始めたころに製作、公開された映画です。
あらすじによれば、労働者階級出身の男と裕福な階級出身の女性とのあいだの恋愛を、それぞれの階級の社会背景からくる問題をテーマにえがく物語のようです。
フィルムは劣化が進んでいたようです。ブエノスアイレスにあるパブロ・デュクロス・ヒッケン映画美術館(ブエノスアイレス映画美術館)が保有していた2本の35ミリプリントは劣化が進行して、もはやこの作品を見ることは不可能ではないかと危惧されていました。アルゼンチンの映画・音響映像国立研究所(INCAA)が保有していた16㎜プリントも修復プロセスで使用されました。
ブエノスアイレス映画美術館と美術館友の会が、2021年に修復事業を開始しました。友の会がクラウドファンディングを通して、修復と4Kデジタルスキャンに必要な資金を集めたといいます。新しいデジタル・マスターとアーカイブ用35㎜ネガはメキシコ国立自治大学のフィルム・アーカイブが行いました1。
修復を手掛けたアルゼンチンのパブロ・デュクロス・ヒッケン映画美術館の動画があります。
8. Udju Azul Di Yonta (1992)

監督:フロラ・ゴメス、ギニアビサウ/ポルトガル/フランス/イギリス、98分、カラー
restored by: Cinemateca Portuguesa – Museu do Cinema
西アフリカのギニアビサウ出身の映画監督、フロラ・ゴメス(Flora Gomes)の長編映画。ゴメスの『モルトゥ・ネガ(Mortu Nega, 1988)』につづいて、ギニアビサウで製作された第2作目の映画となります。原題は「ヨンタの青い目」という意味です。
修復、デジタル化はポルトガルのシネマテカが実施したのですが、そこで「imersão em janela líquida」を使用したとあります。これは、フィルムの複製(オプティカル・プリンティング)やデジタル・スキャンで用いられる技術で、「ウェットゲート」と呼ばれるものです。オリジナルのフィルムにキズが入ってしまっている場合、普通に複製、スキャンするとそのキズは複製したフィルムやデジタルスキャン画像に残ってしまいますが、フィルム全体を特殊な液体に浸潤させたまま複製やスキャンをすると、キズが大幅に減少します。これは特殊な液体の屈折率がフィルムの屈折率とほぼ同じため、キズによる光の散乱が抑制されるからです。こういった古い映画フィルムの修復には必須の技術で、ARRISCANなどのデジタルスキャナーでは水槽型のゲートが装備されています。2
ニュース切り抜き
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ハリウッド映画ファンのあいだでは、マイケル・マン監督の『刑事グラハム/凍りついた欲望(Manhunter, 1986)』とトニー・スコット監督の『ラスト・ボーイスカウト(The Last Boy Scout, 1991)』の4Kデジタル版+未公開シーンの発表が話題です。『風と共に去りぬ(Gone With the Wind, 1939)』の4Kデジタル版も、この11月にリリースされるそうです。
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テキサスのAlamo Drafthouse Cinemaが「Alamo Exclusives」というプロジェクトを開始。映画祭で話題になったインディペンデント映画を全米のアラモ・ドラフトハウスの劇場に配給するというもの。
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台湾では、1950年代から60年代まで国民党政府は北京語の国語化を推進したため、台湾語の映画(台語片)は亜流とみなされていました。この台語片はおそらく1,200本あまり製作されたといわれていますが、その6分の1ほどしか現存していないようです。その保存活動の様子が伝えられています。
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グッゲンハイム美術館で実験的ドキュメンタリー映画『Zidane, a 21st century portrait (2006)』が展示/上映。
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1971年にロバート・グッドウィンが製作・監督したポリティカル゠ブラックスプロイテーション「Black Chariot (1971)」が復元上映。
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ニューヨーク・アジア映画祭が開催中。オープニングはヨン・サンホ監督の『群体(Colony, 2026)』。
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レバノンの文化省がレバノン映画の保存を2025年から開始。The National Newsが取材。いまなおイスラエルの攻撃に怯えるレバノンが、その歴史のなかで、記録してきた紛争と悲劇の映像を、いかに後世に残していくか。
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エネルギー危機下にあるキューバ。そのなかでも、いかに映画製作と映画上映が行われ続けているかをRadio Anguloが伝えています。

“The Restoration of Los de la mesa 10 to Premiere in the Venice Classics Section at the 2026 Venice Film Festival – Caligari.” [Online]. Available: https://caligari.com.ar/en/the-restoration-of-los-de-la-mesa-10-to-premiere-in-the-venice-classics-section-at-the-2026-venice-film-festival/
“Cinemateca – A nova cópia digital restaurada de OS OLHOS AZUIS DE YONTA estreia em Venice Classics.” [Online]. Available: https://www.cinemateca.pt/Cinemateca/Noticias/A-nova-copia-digital-restaurada-de-OS-OLHOS-AZUIS.aspx
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