硝子瓶（二十二）

Petrov/Chartrand

ハイチ系カナダ人のアニメーター、マルティーヌ・シャルトラン（Martine Chartrand, 1962-）は、1990年代にロシアのアニメーター、アレクサンドル・ペトロフ（Aleksandr Konstantinovich Petrov, 1957-）に師事し、長編アニメーション『ブラック・ソウル（Black Soul, 2000）』を7年かけて完成させました。シャルトランは、ペトロフの『雌牛（The Cow, 1989）』を見て衝撃を受け、ペトロフの弟子となると決めたということです。Animation Obsessiveが、この2人のアニメーターの出会いと交流についてのエッセイをポストしています。ペトロフも、そしてシャルトランも、ガラス板に油絵具を塗り付けて一枚一枚フレームを作り上げていく手法でアニメーションを製作しますが、スタイルはそれぞれの物語にもっとも合ったものになっていると思います。

アレクサンドル・ペトロフは、ユーリ・ノルシュテインに師事したこともあり、2007年にはジブリ美術館提供で『春のめざめ（My Love, 2006）』も公開されたので、ご存じの方も多いと思います。

Animation Obsessive, “Two Artists, Linked Across Distance“, December 8, 2025
春のめざめ　公式サイト, “アレクサンドル・ペトロフのアニメーション作法“, 三好寛, 2007

畢贛インタビュー

カンヌで『狂野時代（Ressurection, 2025）』が特別賞を受賞した畢贛（ビー・ガン）（1989-）監督のインタビューが公開を前にthe Film Stageによって行われました。

the Film Stage, ““It’s a Mission: Impossible”: Bi Gan on the Long Journey and Long Takes of Resurrection“, Nick Newman, December 9, 2025

Too Much Matter

レプトン数保存則の破れを検出するための二酸化テルル結晶のアレイ。この記事の最初の、「私たちは（反物質にたいして）物質が多すぎる世界に住んでいる（We live in a world with too much matter (as opposed to antimatter)）」という文章が衝撃的。

An array of tellurium dioxide crystals CUORE計画の検出器として使用されている二酸化テルル結晶のアレイ。 CUORE Collaboration and Yury Suvorov, via science.org

Science, “Elusive decay“, Jelena Stajic, December 4, 2025

雲の変形に関する試論

ルーク・ハワード（Luke Howard, 1772-1864）の著作「Essay on the Modification of Clouds (1865)」がPublic Domain Reviewで紹介されています。ハワードは常に変化し移動する「雲」を、4種類のタイプに分類し、人々の「雲の見方」を変えたと言われています^{[❖ note]}❖画家への影響　特にジョン・コンスタブル、ジョセフ・M・W・ターナーに与えた影響は大きいと言われている。。この「Essay on the Modification of Clouds」にはいくつか図版が載っていますが、これらはハワードが画家のエドワード・ケニオンと共同して制作したもので、風景画として当時のスタイルに則って完成されています。しかし、ハワード自身が描いた水彩画も残されていて、そちらのほうが、淡い色の水の動きが変幻する雲の姿となって印象深いです。水彩画は英国サイエンスミュージアムのサイトで閲覧可能です。

ルーク・ハワードの雲の水彩画（1803） 積雲が強い風で流されている様子。© The Board of Trustees of the Science Museum and published under CC BY-NC-SA 4.0 License (Source) via. Public Domain Review

Public Domain Review, “Luke Howard’s Essay on the Modification of Clouds (1865)“, Thea Applebaum Licht, December 5, 2025